フランスのスプーンでは時折、装飾の一部に人面を使ったものを見かける事があります。
それらの人面は建築彫刻のマスカロン(怪人面)由来と思われますが、
マスカロンは悪霊や不幸を追い払うための恐ろしい容貌が特徴です。
マスカロンとはちょっと趣が異なりますが、
人面装飾がなされた英国製のスプーンは珍しいようです。
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この人面は英国の歴史上の人物、または宗教上の人物でしょうか。
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スクロール模様も入って彩りを添えています。
この模様が入ることで柄全体が引き締まって見えますね。
ボウルの後面にはバランスよく花模様が続いています。
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11.5センチと小柄なスプーンですが、2本で32グラムとズッシリとしており
また背景の丁寧な梨地と相まって、さらに重厚感を感じます。
人面装飾を良く見てみると、花模様に包まれて口ヒゲと顎ヒゲをたくわえた
凛々しい立派な顔立ちをしていますが、さてどのような人物だったのでしょう。
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James Wakely & Frank Clarke Wheeler工房 (Lodon 1894年製)