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銀器とナイフに魅せられて

ginkinaifu.exblog.jp

アンティークのシルバースプーンやナイフ&たまにカスタムナイフその他も紹介

フランスのスプーンでは時折、装飾の一部に人面を使ったものを見かける事があります。
それらの人面は建築彫刻のマスカロン(怪人面)由来と思われますが、
マスカロンは悪霊や不幸を追い払うための恐ろしい容貌が特徴です。

マスカロンとはちょっと趣が異なりますが、
人面装飾がなされた英国製のスプーンは珍しいようです。

英国製 人面装飾のスプーン_a0389018_12140950.jpg

この人面は英国の歴史上の人物、または宗教上の人物でしょうか。

英国製 人面装飾のスプーン_a0389018_12143283.jpg

スクロール模様も入って彩りを添えています。
この模様が入ることで柄全体が引き締まって見えますね。
ボウルの後面にはバランスよく花模様が続いています。

英国製 人面装飾のスプーン_a0389018_12215929.jpg

11.5センチと小柄なスプーンですが、2本で32グラムとズッシリとしており
また背景の丁寧な梨地と相まって、さらに重厚感を感じます。

人面装飾を良く見てみると、花模様に包まれて口ヒゲと顎ヒゲをたくわえた
凛々しい立派な顔立ちをしていますが、さてどのような人物だったのでしょう。

英国製 人面装飾のスプーン_a0389018_12150451.jpg

James Wakely & Frank Clarke Wheeler工房 (Lodon 1894年製)


# by meichan007 | 2021-08-28 09:35 | 銀のスプーン | Comments(0)

アンティークのキャディースプーンと言えば
中国から運んだ茶箱から茶を掬うのにホタテ貝の殻を使用したとの由来から、
貝殻の形をしたものが多かったというイメージがあります。

銀板からこの貝の形を作るのは工業的にプレスでもしない限り、かなり難しそうです。
今回は完全な貝型ではなく、中央にフレアーの入ったものにしてみました。

今まではスプーンの外形の型を作るだけで済みましたが、
今回は内側の型に沿って、大きいタガネの先を加工したもので
凹凸を作っていきました。
作業は以前より難しくなりましたが何とか形になったと思います。

フレアーの入ったシルバー キャディースプーン(自作)_a0389018_11140724.jpg

ほぼイメージ通りの良い形になりました。

フレアーの入ったシルバー キャディースプーン(自作)_a0389018_11142509.jpg


フレアーの入ったシルバー キャディースプーン(自作)_a0389018_11141834.jpg

全体に凹凸のある完全な貝型だと(完全なフレアー型も)ボウル部分にブライトカットや、
その他の模様が無いものが多いです。

職人技の多彩なブライトカットはキャディースプーン収集の楽しみの一つですので、
これがないのは何となく寂しいなと思います。

ブライトカット技法は参考になるような資料が見つかりませんでしたが、
拡大鏡で子細に眺めて何とかある程度までは製作方法が分かりつつあります。

ですが、再現するためにはかなり高度な技を習得する必要がありそうです。

ブライトカットの施された銀器をお持ちの方は
ぜひ一度、拡大鏡でご覧になってください。

残念ながら今回の模様には、いわゆるブライトカットは間に合いませんでしたが、
何となく雰囲気は出せたと思います。

フレアーの入ったシルバー キャディースプーン(自作)_a0389018_11141375.jpg

フレアーはボウル奥までの物と、途中までのと変えてみました。
裏面にすると違いがはっきりしますね。

それからメーカーズマークを少し変えて、ハート形にしてみました。


# by meichan007 | 2021-08-10 10:37 | ハンドメイドスプーン | Comments(0)

普段良く使っているテーブルスプーンは、私の持ってる銀のスプーンの中では
一番年代の古い物です。

1727年製ですので、生粋のアンティークコレクターお持ちのスプーンに比べれば
まだヒヨッコですが、とても使い易くて私の口と手によく馴染んでいます。

この当時のスプーンの形としては標準的なハノービアン型、
ボウルのハンドル付け根はシングルドロップという形だと思います。

刻印はボトムマーキングで、このためこの部分の柄が刻印の時に変形しにくいように
厚くなっているとのことです。

愛用のテーブルスプーン_a0389018_15265970.jpg
愛用のテーブルスプーン_a0389018_15272214.jpg

他のアンティーク・シルバースプーンに比べて、白く綺麗に輝くように感じます。
後年の物とは銀と混合された成分が少し違うのでしょうか。

愛用のテーブルスプーン_a0389018_15272956.jpg

ハンドルエンドには、鳥をモチーフとしたクレストがあります。
このクレストについて調べてみたのですが詳しいことは不明でした。

愛用のテーブルスプーン_a0389018_15273515.jpg

Willam Toone工房(London 1727年製)


# by meichan007 | 2021-07-31 10:04 | 銀のスプーン | Comments(0)

かなり大型のシルバー・フォールディング・フルーツナイフ、
略してSFフルーツナイフです。

さて、本当にフルーツナイフとして使用されたかは、
ブレードの長さも厚みもありますので不明です。

ホールマークは、他の1800年前後のジョージアンSFフルーツナイフと同様に、
ホールマークはライオンパサントとジョージ王のマークだけです。

象牙ハンドルのジョージアンSFフルーツナイフ_a0389018_08191226.jpg

ハンドル背部の模様などから、1800年代初期の物でしょうか。

ハンドル材は年代を経て深みのあるカラシ色に変化した象牙です。
この時代特有のアーモンド形をした銀製シールドがインレイされています。

ハンドルボルスターには、やはりこの時代特有の縦のラインが見られます。
ハンドルエンドも銀製で、美しい線状の模様が刻まれています。

象牙ハンドルのジョージアンSFフルーツナイフ_a0389018_08194130.jpg

象牙ハンドルのジョージアンSFフルーツナイフ_a0389018_08200488.jpg

以前紹介した同じジョージアンのナイフと、折りたたんだ状態で比べて見ました。
随分とブレードの長さが違う事が分かります。

象牙ハンドルのジョージアンSFフルーツナイフ_a0389018_08201462.jpg

象牙ハンドル、ブレードには使用キズもあり、実際かなり使われていたようです。

私はいつもは鋼製プレートのナイフを使っていますので
スターリングシルバーの折りたたみナイフで
ブレードを薄くしたものはかなり柔らかく感じてしまいます。

バターナイフやペーパーナイフも
銀メッキの物の方が薄くて剛性があり使いやすいですね。
パンにバターを塗るときはバターを薄く削りとって載せる方が
好きなので銀メッキの物を愛用しています。
長く使用しているとメッキがはがれてくるのが難点ですが。

背景はAlencon(アランソン)19世紀初頭


# by meichan007 | 2021-07-06 09:59 | 銀のナイフ | Comments(0)

今回はやや大ぶりの、模様の豪華なキャディースプーンです。

ボウルのシェルライン間を埋め尽くすように、そしてさらにハンドルにかけて、
隈なくエンボスとチェイシング(でいいのかな)で華やかな模様が施されています。

仔細に見ていくと、他のキャディースプーンとちょっと違ったところがあって、
面白い(?)スプーンです。

メーカー推測もまた楽しいキャディースプーン_a0389018_18355796.jpg

ボウルの裏面にはエンボスされた跡が残っていますが、
ハンドル裏面は平らになっています。

中空構造ではありませんので、おそらく裏面のエンボス部分を後から銀で埋めたのでしょか。
エンボス模様が一番強く打ち出されているハンドル先端の貝模様の裏面部分だけが、
やや凹んでいます。

メーカー推測もまた楽しいキャディースプーン_a0389018_18362638.jpg
メーカー推測もまた楽しいキャディースプーン_a0389018_18364974.jpg

ハンドルの表面部分だけをみると、キャストの様にも見えます。

ホールマークはジョージ王、ライオンパサント、1826年、ロンドンまでは判るのですが、
メーカーズマークはTの字が判るだけで、そのあとの文字が読めません。

メーカー推測もまた楽しいキャディースプーン_a0389018_18370601.jpg

よく見るとTの次のドットの斜め下方に少しですが突出した部分が見えます。
そうすると、B,D,E,F,H,I,K,L,M,N,P,Rの文字が考えられます。
ネットで皆さんが良く調べるサイトでは4人位に絞られました。

もっとも考えられるのは・・・・
刻印の枠の隅の欠けた形とドットが有る事からは
①ThomasWilkes Barkerまたは②Thomas Harper IIでしょう。
サイトに記載された活動年が刻印と数年合わない方もいますが、
いままでもその程度の違いは経験しています。
Jhon Norie著「Caddy Spoons」にはどちらのメーカーも、spoon makerと記載されています。

以上の様に色々書いてきましたが、このように推測するのも楽しいものですね。


# by meichan007 | 2021-06-14 16:00 | 銀のスプーン | Comments(0)

by meichan007